ジェンダーフリー

asahi.com:「性差解消教育、はびこっている」 中山文科相が批判?-?暮らし
もうちょっとジェンダーフリーについて勉強なさった方がいいのではありませんかと思いつつも、ジェンダー研究やフェミニズムの人の中には、セックスもジェンダーも社会的な捏造などといい、性差別解消のためには男女を同質にする必要があると*1、人間の性差を解消するための無茶な論を、何の実証もせずに提唱する人がいて*2、そういう人が結構声が大きかったり、もてはやされたりしているように感じます。よく名前を見かけるジュディス・バトラーという人はセックス、ジェンダーセクシュアリティ、すべて社会的な捏造であると突拍子も無いことを仰っていますが*3、その無茶な話を好意的に取り上げている人は結構見受けられます。この手のファナティックで目に留まりやすい意見に対して議論がわきあがり、そのため、さらに人目につくようになって、ジェンダーフリーというものがおかしく見られるようになってるんじゃないかいなと、そんな風に思います。スティーブン・ピンカーの「人間の本性を考える」でジェンダーフリーという言葉が一度だけ*4出てきますが*5、性差解消といった意味で使われています。ピンカーはジェンダーについて1章をあてていて*6ジェンダーという言葉がときにトンデモ*7な使われ方をする例を多く取り上げています。

「私たちはこれからの日本で生きていく子どもたちを素直に育てたい。できれば世の中のために貢献できるようになってほしいと思っています」

うーん、言っていることはまっとうなのですが……。自分が世の中というか、多くの人の役に立って、そして自分もまわりまわってちっといい目を見られたら、万々歳だと思いますから。ただ、政治家さんがいうとちょっと裏があるんじゃないかと思っちゃいますね。(笑)
あと、なんというか、あんたらが手本見せろよというか……。

*1:男女同質を目指すものを「ジェンダーフェミニズム」と分類した人がいるとか。

*2:まあ、砂の上には城建たずで、間違った理論、つまりは嘘を何万言重ねても、人間の性差はなくなりゃしないでしょうけれどもね。もっとも、万も億も……いえ、兆も京も言葉を重ねているうちに、信じられない技術革新によって性差をなくせる技術が生み出される……なんてことがあるかも知れません。

*3:ちなみにジュディス・バトラーの本は非常に文章が難解で読むの大変です。内容にたどり着くまでに気力が果てることすらあります。

*4:たぶん。

*5:スティーブン・ピンカー著, 山下篤子訳, 「人間の本性を考える(中)」, NHKブックス, p71. なお、原著ではgender-freeと書かれていました。日本だけの言葉だと攻撃する人もいますが、そうでもないようです。

*6:下巻。

*7:トンデモと書いているのは僕で、著者ピンカーは珍説奇説をまじめにとりあげ批判しています。