己の恥を飾り付け

http://d.hatena.ne.jp/terasuy/20061215/p1
ネタなのか本気なのかいまいちわかりませんが……。ネタであっても、マジレスしておきます。

あっけらかんと裸になる人の体を見るよりも、はじらいつつ裸になる人の体を見るのが嬉しいというのは、なかなか得られそうにない(見せてくれそうにない)ものを得られるのが嬉しいという気持ちもありそうですが、恥じらいの中には、どこか男に対する怯えとかそういうものが見えるからそこにつけいる隙がうかがえて嬉しいのではないかと考えます。自分の肉体が持つ男性への影響力を知ってなお、「少々裸を観られたところでどうということものない」という毅然とした態度を示す女性は手強そうです。そうじゃない女性には何か圧力をかけられそうです。何がしか弱いものや奪いやすいものに対して「萌え」が使われる傾向が強いように思います。単に「俺にも手に入れられそうな女」に対して、欲情しているのじゃないの?とか思います。強い女性キャラでも、なにがしか弱いところを見せたときに「萌え」とか言われ始めるようなきがします(印象論ですが)。何の弱みも無い(とくに男に対して)完成された女性キャラに「萌え」という言葉が使われていることってあるのでしょうか*1? 洋物ポルノなんかは、あまり数は観てませんが、がっつんがっつん助平やってて、お姉ちゃんたちがパワフルな感じです。男優さんたちもパワフルですけれども。(笑)そういう力強さにたいして「萌え」が使われることは滅多にないように思います。『ガッツ』のタカさんに「萌え」という言葉を使う人も、たまにいるとは思いますが、かなり珍しいと思います。ネタ的にタカさん「萌え」という人は結構いてそうですが。
ここでいう「萌え」は別に日本人の美徳ってものでもなんでもなくて、弱さがあってつけいることができそうな対象への欲でしょうとしか思えません。そして、この辺はきっとうちら男にはかなり普遍的なものなんでしょう。日本人女性とフランス人女性がやおいに関して語り合っているところで、フランス人女性がフランス人男性を批判しているくだりがあります。

[<同性愛先進国はやおい後進国?(その2)− やっと分かった「エマニエル夫人の怒り」の謎>]

フ「フランスでは性的偏見があり、フランス人男性は、女性に性欲があることを認めようとしないのです」
(略)
 そして何より驚いたのは、フランス男は「彼氏がいっぱいいる女性」を最も嫌うという点だ。

フ「彼氏がいっぱいいることはすなわち、多くの男性とセックスするということを意味するのですが、フランスの男性はセックス好きの女性のことを娼婦と同じような目で見るのです」

 なるほど。日本でも浮気がばれた時に「この淫売め」な〜んて怒られたりするからそれと同じなんだろう。ところが、フランスではセックス相手がいっぱいいる普通の女性のほうがプロの女性よりも軽蔑されるのだという。どこでもプロはそれなりに尊敬されるのかなとスラッシュ君は思ったのだが、とんでもない。大ハズレだった。
 
フ「売春を商売にしている女性は貧しく、生活がかかっているのだから仕方がないと思われるんです。他の選択肢がないからと。しかし生活に困っていない女性が数多くの男性と付き合うのは、純粋に性欲からであって、それは恥ずべき欲望だということなのです」

 娼婦はお客(金を払う人)に対して常に従属的地位にある。だが素人女性はお金に困っているわけではないので、男性が容易にイニシアティブを取れない。なので女性の性欲を否定する。快楽だけのためにセックスする女性が怖いのだ。

 おおお〜。そうなのかあああ! その瞬間、スラッシュ君は高校時代に『エマニエル夫人』(注14)を『続エマニエル夫人』、『愛の妖精アニーベル』との3本立てで見て以来の長年の謎が氷解した。エマニエル夫人は娼婦を買った夫を卑怯者と罵るのだが、当時のスラッシュ君には「いろんな男をとっかえひっかえしているエマニエル夫人が、どうして夫が女を買ったくらいであんなにも怒るのだろう」ととても疑問だったのだ。

 エマニエル夫人は、同情すべき娼婦の前では優越感を感じるが、自由な女に選ばれるのは怖いと思っている臆病者の夫を通してフランス男性全体を怒っていたのだ。確かにエマニエル夫人は多情だ。だが少なくても自分の魅力だけで勝負している。夫が浮気をするのはいいが、自分なりの意志を持ち自尊心がある女性との勝負から逃げ、安易な娼婦に走ったことを怒っていたのだ。

この辺の話を読んで、ユーザーに総スカンをくらった柴門たまき(『下級生2』)を思い出しましたよ。彼女も自分で別の男を選んだキャラクターでした。国やら民族、趣味などなどによって、欲や性根の現れ方は違っても、根っこの部分は変わらないと、そんな風に思います。

追記:僕自身は『下級生2』をプレイしていたら、たまきのところでキレたろうなあと思うヘタレです。エロゲーにめちゃめちゃ手強そうなお姉ちゃん出してどうすんねんと考えるでしょう。ですが、自分の欲というか、そういうのを美しく飾るのはどうなんよと思って、上の文章になったわけです。

*1:皆無とは思いませんが。「萌え」の意味もかなり広がっているところがありますし。