夕凪の街 桜の国

南信長さんのコミック教養講座 夕凪の街 桜の国 こうの史代著
カトゆー家断絶より)
僕にとっては後書きが全てをぶちこわしている作品でした.後書きが邪魔だと思う作品はたまにありますが,作品を台無しにしたなと思わされたのは初めてです.作者が核兵器による惨状を自分のなかにとりこんでいても,「核兵器そのもの」のことはほとんど知らない.劣化ウラン弾核兵器のごとく書いていましたし,被爆国云々の記述にも何かおかしなものを感じました.後のやつは,ちょっとうまく説明できませんが…….
理ではなく,情を描いている作品なので,核兵器のことを詳しく知らなくても構わないのかも知れませんが,実体を把握せずに,ただ恐れて忌避するだけでは,結局のところ作中に出てきた人たち,被爆者を理解せずに,ただ,恐れた人たちと,何もかわらんじゃないかと,そんなことを考えました.作品を読んだ余韻も何もかも,どこかに吹き飛んで消えていきました.
最後に,作品自体は心にしみこんでくるものがありましたので,それだけは書いておきます.心が萎えたたのは,作者後書きのためです.
こうの史代,「夕凪の街 桜の国」,双葉社,asin:4575297445.