「舞-HiME」第18話「――はじまり。」

シスター紫子…….神に仕えるのではなく,すがって生きてきた,あんまり自分でモノ考えて生きてないでしょって感じの,ちっとばかし頭の悪い女の人が,とても魅力的だけれど,その実根性ひん曲がった男にころっとだまされてしまい,薬で眠らされ手込めにされて,因果を含められ,望まぬ戦いを戦わされて,破滅の道へと一直線……ですか…….男女の立場が逆転し,バカな男が悪い姉ちゃんに騙され破滅させられても,自業自得じゃんとか思ったりするわけで,シスターにしても,鴨が葱を背負って暢気にふらふらと歩いているのを石上先生がしめしめととっつかまえただけなんで,あまり同情するところはありません.シスターの嘘のせいで戦いになって左目を失った結城奈緒のがかわいそうです.とはいえ,人を騙す人間も観てて好かんので,石上先生にはみじめな消え方をして欲しいところであります.シスターのチャイルド消滅は確実でしょうから.石上先生,自分を憎ませてチャイルド消滅時に巻き込まれないようにしようとしているようですが…….無理でしょう.シスターが石上先生を強く憎める人であったなら,自分を弄んだ男をチャイルドでぶちのめしてますがな.神によりかかるのではなく,信仰を胸に抱いて自分の足で立ってますがな.18話の終わり,教会の中で石上先生に迫られ,「ここ(神の御前)でだけは……」とシスター拒むわけですが,あらがう力は弱々しく,結局受け入れてしまいます.今の状況に,ただ流されてゆくシスター紫子.その弱さが哀れです*1
最後に,力を持っていて,使い方も知っている.あの子たちは戦うさ.そういう凪の台詞がありましたが,まあ,やるでしょうね.誰も持っていない力.力を抑止する倫理,道徳,思想を誰も発明していない.今あるモノでは,その「外」にある力は縛れない.シナリオライターさんに*2,面白いけれど,なんでこうもすっきり楽しめない作品を作るかなと文句を言いたくはありますが,シナリオライターさんの意地の悪さというかそういうの結構好みだったりします.

*1:「おねがいです.ここでだけは……」のシスター紫子役井上喜久子さんの演技がなんとも艶っぽくてエロいなあとと思いつつ,シスター哀れだなあと思う.人間の心はいくつものパーツで出来ていますね…….

*2:監督さんたちにも.