高貴な野蛮人("Noble Savage")

blog::TIAO: 飛礫と群衆 ……中国の反日デモに思う
大半は、こういう考え方もあるのだなという感想なのですが、冒頭の言葉だけはちょっといただけません。

……国家というものが誕生して、大量殺戮をともなう征服戦争が発生するようになる以前、まだその心に「野生」というものを保っていた人々は、抑制のきいたルールの中で、儀礼的な戦いをおこなうのを好んでいた。

「野生」を保ち、殺人を忌避する道徳や倫理を発明していない人たちは無茶苦茶な戦いをやります。それも頻繁に。ひどいものになると1年間で人口の4分の1が失われるような戦いをします*1。また、敵を殺した者、手伝った者に与えられる称号を成人男子の4割がもっているという部族もあります*2。今が暴力のない素晴らしい時代であるなどと馬鹿げたことをいうつもりはさらさらありませんが、昔に比べるとずっとましに思えます。

*1:デレク・フリーマン, 「マーガレット・ミードとサモア」, みすず書房, ASIN:4622036460, p211.

*2:啓明情報-III:読書案内2(樺山)の『男の狂暴性はどこからきたか』の書評のヤノマモ族の話。スティーブン・ピンカー, 「人間の本性を考える」でも取り上げられています。