こじつけ

http://d.hatena.ne.jp/claw/20050718#p2
嫌韓流」という漫画自体にはあまり興味ありません。以前、ネットでちょろっと読みましたが、妙な被害者意識ばりばりであまり面白くありませんでした。あの手のものだったら、コリアンジェノサイダー・nayukiのがずっと芸があって面白い。
嫌韓流」を読むより、韓国の新聞記事を翻訳サイトを通して読んだり、日本語版を読んだりすれば、その強烈な民族主義にくらくらすると思います。がちがちになってしまわなければ、ある程度の民族主義は健康的*1で、別にいいじゃんとか思うんですが、向こうさんはちといきすぎています。
ただ、そういうのばかり読むとアレですから、呉善花さんの「スカートの風」のシリーズなんか読むとほっとできます。自国、日本ともに愛着をもった人で、「高尚」な観念論をもてあそんだりせず、生活に根ざした言葉がとてもよいです。


まあ、それはともかくとして、「嫌韓流」への批判が上の記事でなされているわけですが、ちょっとどうかなあ……と。量がありますが、ざっと眺めて特にひっかかったところに関して、思うところを書いてみます。


まず、パクリ。

嫌韓厨は韓国文化に対して「パクリ」「パクリ」というが
 日本にそれを言う資格があるとも思えない(@∀@)
 文化とは、そもそもそういうものである。

技量の巧拙や作品の完成度という視点が、すっぽり抜けておちています。
「文化とは、そういうものである」は正しい。ただ、他を取り入れるやり方がうまければ賞賛され、下手であればこき下ろされます。向こうさんがパクリパクリとこき下ろされているものは真似が下手な作品がこきおろされているにすぎません。韓国はネットゲームやらゲーム関係の技術は素晴らしくて*2、日本が他国の文化を自分たち風にアレンジしているように、日本のアニメやら文化を上手に取りこんで自分たちのものにしているものはいくらでもあります。"Yogurting"なんか素晴らしいです。そういったゲームまで不当にこき下ろしていたら、その人はただのアホですが、韓国のネットゲームを民族主義的にこき下ろしている人はほとんどいないと思います。韓国の人が日本で描いている漫画や、韓国から日本に持ち込まれた漫画なんかで、つまらなかった「熱血こうこ」はこき下ろされていましたが、お話まあまあ、絵は抜群の「あめんおさ」は叩いている人あまり見かけません。今度劇場版アニメも公開されるそうですが、結構観に行く人多いんじゃないかと思います。韓国嫌いな人のページを今まで結構見てきましたが、叩いているのは真似方が下手な作品(特にアニメや漫画に多い)ばかりで、どこの国の人間が作ろうとこき下ろされて仕方ねえわなってものです。同じ日本人の作品でも真似方が下手な「Black Cat」や「悪魔狩り」なんかは、もうむちゃくちゃにこきおろされていましたよ。「Black Cat」が「Matrix」を安易に真似たときは、もうなんというか……。ただ、「Black Cat」作者様の神経の太さは素晴らしいと思いました。


ついで、ことわざ。
韓国の諺と似ている日本の諺を書いているのですが、なんか微妙だったり、無理矢理こじつけていたりするものが。

「家と女房は手入れ次第。」→「畳と女房は新しいほうがいい」。

どちらもかなり女性に対して失礼なことわざですが、同じものとはとても思えません。似たような語がそろっているものを引っ張ってきているだけに見えます。

「らい病患者の鼻の穴に差し込まれたにんにくの種もほじくって食べる。」→(食い意地)→「初鰹は女房を質に入れてでも食え」

食い意地だけの話じゃなくて、「初鰹」云々は粋とかそういうものを含むことわざじゃありませんか? 同じとするのは乱暴です。実際、初鰹は江戸ではめちゃくちゃな値段で取引されていたものだそうですし、対置させられている日本の諺は非常に贅沢な話です。

これが韓国の全ての諺ではないですが、日本にもある諺ばかりです。民族性を良く表しているのではないでしょうか。「あ〜なるほどね」と、思い当るフシがいくつもあります。こんな諺が存在しているということは、今の韓国人の民族性というのは、太古から日本人とそっくりなものなのですね・・・まあ双方とも儒教の影響下にあったもんネw

しめとして、日韓の民族性がそっくりと書いてらっしゃいますが、本当にそうでしょうか? 日韓は互いに影響しあったわけですし、似ているなと思う部分も結構ありますが、そっくりというのは無茶苦茶です。根拠が諺の一致というのも同じく無茶です。紹介されている諺のなか、一部の諺は確かに似ています。ただ、たまたま似ている諺をもってして、民族性が同じというなら、イギリス、フランス、ドイツ、アメリカ、中国、ベトナム、タイ、インド……などなど、どこの国にも似たような諺を見つけることは出来るでしょうから、似ている諺だけ示して、どこの国とも民族性が同じと強弁できてしまいます。人間という動物の基本部分は同じです。人種によって白人は日焼けに弱い、黄色人種はアレルギーに弱い、黒人は紫外線の弱いところではビタミンDが作れなくてビタミンD欠乏症になりやすいなどなど細かい差はあるそうですが*3、決定的な差があるという話は聞いたことはありません。将来的に大きな違いが見つかることもあるかもしれませんが、たぶん見つからないんじゃないかと思います。ですから、文化によって大きく違ってくるものはあっても、完全に違ってしまうわけもなく、どこの民族にも同じような諺はあるでしょう、いえ、ない方がおかしい。僕は、似たような諺でもいろいろと違いがあって、そこから民族性の違いが伺えて面白いと思うんですけれどもね。日韓だけじゃなく、日中も違う、日米も違う、中韓も違う、米韓も違う、米中も違う、そうだと思いますし、それで良いと思います。


なんかえらい長くなったので、この辺でやめときます。
元記事はコピペ用に書かれたものの一つのようですが、そのまま使わない方がいいんじゃないかな?*4と思います。パチンコとかその辺は有効かも知れませんが。

*1:山本夏彦さんがいうたぐいの健康的ですね。

*2:もちろんどうしようもないのはあるでしょうが、まあ、どんなものにもくずは含まれます。スタージョンの法則ってやつですか。

*3:Quark編, 「男のからだ・女のからだ」, 講談社ブルーバックス, p280-285, 1988.

*4:まあ、いろんなところにマルチポストっていうのが、そもそも嫌われることである気もしますが、それに関してはここでは考えません。