被害者ビジネス
Sankei Web 産経朝刊 沖縄守備隊長遺族、大江氏・岩波を提訴へ 「自決強制」記述誤り、名誉棄損(07/24 05:00)
疑問を抱いた作家の曽野綾子さんは渡嘉敷島の集団自決を取材し『ある神話の風景』(昭和四十八年、文芸春秋)を出版。座間味島の集団自決についても、生存者の女性が「軍命令による自決なら遺族が遺族年金を受け取れると島の長老に説得され、偽証をした」と話したことを娘の宮城晴美さんが『母の遺したもの』(平成十三年、高文研)で明らかにした。
産経新聞さん……「ある神話の風景」じゃなくて「ある神話の背景」では?
それはともかくとして、人間、被害者だからといって清廉潔白なわけはありません。誰しも自分の都合のために動く一匹の動物です。苦労してきたからといって人格者になれるわけでもなく、逆に苦労しすぎりゃ人間歪む、痛みを知っていたとて、いえ、だからこそ、他人に同じ事をする。そんなのそこらじゅうで目にすることです。ちっと周りを見回せば、いくらでもサンプルはある*1。上のようなことがあってもなんちゃおかしくありません。あとはまあ、「ある神話の風景」や「母の遺したもの」って本がどこまで信じられるかという話になるわけですが、どちらも未読です。「ある神話の風景」は読みたいと思っているんですが絶版なんですよね……。また、「ある神話の背景」をめぐる論争を収録している、上の記事でも名前が出ている「鉄の暴風」と同じ太田良博さんによる「戦争への反省」なんて本もあるとか*2。この辺まで今は手が出せませんが、いずれ読んでみたいところです。
あと、上の記事と直接関係あるわけじゃありませんが、「Meine Sache 〜マイネ・ザッヘ〜: 暴かれる犠牲者ビジネス」を紹介します。ナチスに収容所にたたき込まれたと偽証していたエンリック・マルコ氏の姿にいろいろと考えてしまいます。
この手の話では、積ん読状態になっているユダヤ人によるユダヤ人告発書「ホロコースト産業」なんかもはずせないかも(→ http://d.hatena.ne.jp/hoshimin/20050220#1108870068)。
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*1:もちろん、苦労して人間練れている人、痛みを知っているから人には同じ事をしない人も周りにいます。ただ、どっちの割合が多いかってのは……僕にはわかりません。わかりませんが、暢気に苦労した人は輝いているといったことは言えませんね。
*2:マイナーな出版社から出ているためか、最近出たからなのかはわかりませんが、Amazon.co.jpでは表示されません。