日の丸,君が代

日の丸は「国賊」の旗
まず,なかなかに面白かった後半部について.「君が代」に関しては近代国家となるために四苦八苦した日本の姿が見えて面白いです.「君が代」とはまた違いますが「蛍の光」など他国の歌を借りてきて歌詞をつけたものもあります.この手の話でよく取り上げられる「蛍の光」だけ調べたことがありますが,スコットランドの"Auld Lang Syne"という歌が元になっています.まあ,この辺功罪ともにありますから,手放しの賞賛はしませんが,足りないものを必死でかき集め国をつくりあげようとした先人たちの苦労は評価してしかるべきだと思います.

前半部の日の丸に関してはどうにもいただけません.日の丸は古くからあるものですから,自分たちこそが日本を動かすのだという考え(それが正しいかどうかはここでは考えません)を持っていた人たちが日の丸を使うのは何もおかしくありません.加えて賊軍は単に政治闘争に敗れただけの同じ日本人です.賊軍だから敗者だからと関わったもの全てを否定しろと言うことなのでしょうか? 賊軍の旗印だったからと日の丸を貶めるのは愚かしいことです.そして日の丸否定論のいきつく先であろうもの,大東亜戦争で我が国が多くの国に迷惑をかけたと言って日の丸を引っ込めるというのも馬鹿馬鹿しいことです.日の丸は我が国の歴史,善いこと悪いこと美しいこと汚いこと多くのものを背負っています.日の丸を否定する人は外国人の対日感情をよく引き合いに出してくるようですが,実際のところ日の丸が背負う過去から目を背けたいがためじゃないのでしょうか? 汚い,目を背けたいものを背負っている引きずっている日の丸を取り下げてしまいたい.では,取り下げたなら過去は消えるのでしょうか? 消えはしません.日の丸が背負っている栄光に目をくらまされず,汚点から目を背けない.無批判に愛するのでも,不当に貶めるのでもない.日の丸に対する態度は,それが良いと考えます.

最後に,僕自身は日の丸の意匠配色ともに美しくて好きです.日の丸弁当は,ちょっと悲しいですけれどね.君が代は,他国の国家のごとく敵を打ち倒せとかそんなものではなく,色恋を詠んだものというのが日本的で良いです.創世神話において,男女二柱の神のまぐわいから世界が生み出されたとする,大昔から色恋沙汰が好きな風土なわけですから.ただ,眠ってしまいそうな歌なので,もう少し晴れやかな歌でも良いのにと思わされます.気分が内向きの時は穏やかでいいのですが,外向きの時は辛気くさくてどうもなあと感じます.