反戦ビラ

【縮小版】 裁判所の中の人も・・・ 【差し替え】
反戦ビラ事件関連.
上のblogで紹介されている市民団体の発言など読んでいると,正義と善意(それも手前勝手な)にラリってるんじゃないかと思います.自分たちが正しいと思ったら何してもいいんですかい? 「愛国心は悪党の最後のよりどころ」.愛国心というものに非常に高い水準を要求し,かつ,自身が愛国者であったサミュエル・ジョンソンの言葉で,愛国心を振りかざして馬鹿な振る舞いに及ぶ連中への痛烈な非難です.わが国では,「愛国心」じゃなくて「正義と善意」とか,「平和と反戦」なんて言葉にかえて*1,「正義と善意は悪党の最後のよりどころ」なんてふうに使った方がいいんじゃないかと思います.


ちなみに反戦ビラ事件に対して次のような発言を知りました.
斉藤貴男さん講演
(ネタ元,id:kitano:20041218, id:kitano:20041219.)

本日は労争連秋季集会で斉藤貴男さんが講師。イラク派兵と銃後の日本の状況を話してくれました。30名足らずでやや少なめ。
反戦ビラの話も、質問の中で出ましたがイラク人質事件ほどこの事件がバッシングに遭わなかったのはなぜか?確かにあの事件のように弱いものいじめにできず、むしろ抗議の声がよほど大きかった。
インターネット上でも、これを叩こうという議論は極めて少ない。支援や弾圧抗議の声はいっぱいあるんだが。保守系の人にとっても首をひねる部分のある弾圧だったんじゃなかろうか。
人質事件はとにかく見下げて、こき下ろしてれば良かった。しかし、この問題は少々頭をひねらなければならない。即「罵倒」へつながらない。だが、法理論の世界まで降りて議論しようと言う人は少ないだろうし、「加罰的違法性」の部分なんかかなり難しい話だ。めんどうだからそうまでして取り上げたくなかったのではないだろうか。



罵倒? 人質事件では単なる批判をバッシングや罵倒と呼んでいましたっけね.しかし,イラク人質事件と比較するとは…….世間としては,「防衛庁の官舎でビラ配ってて誰かとっつかまったって? そんなので,しょっ引かれるの? ひでえなあ.えっ,不法侵入? ああ,そりゃ,捕まるわ.何考えてんのかね」程度で,当事者が思っているようなでかい事件じゃないのでは? まあ,統計をとったわけじゃありませんけれども,注目度も高く,それに応えるかのように大量の情報*2が流れたイラク人質事件と違って,どうでもいい人が大半というのが実情でしょう.他人の背負った荷より,自分の荷の方が重く感じるのは世の常.抗議している人たち,関心のある人たちにとっては大事件なのでしょう.ですから,イラク人質事件と対比させて,自分たちが批判されないのは正しいからだと,自分たちの正当性を主張したいのかもしれませんが,あまりにも考えがずれています.そして,ネタとしてのでかさが違いすぎて「批判の数」なんていう量的な対比はなんの意味もありません.
一応,保守系サイトで反戦ビラ事件を批判している人はいました.一番上のblogもそうですし,自分も書いていたりします*3.ただ,同種の事件に見える反戦落書き事件を取り上げて,落書きした連中の愚かしい振る舞いや,見苦しい主張を批判している人の方が多かったように思います*4.同じ正義を振りかざしての違法行為でも,反戦ビラと反戦落書きでは,当事者が相当にいかれていた反戦落書き事件の方が目について,ここでも反戦ビラ事件の影は薄かったと思われます.ですから,結局のところは,「正しいから」批判が無かったのではなくて,どうでもよかったり,他に目につくものがあって「無視されたから」批判が無かっただけ.僕にはそう思えます.斉藤貴男さんという方は,保守系サイトをほとんど見ていないでしょう.たぶん.

*1:「平和」という言葉は素晴らしいもののはずなのに,とんでもなくうさんくさい言葉にしてくれましたから…….

*2:同じものも多かったわけですが…….

*3:id:hoshimin:20041108#1099924861.id:hoshimin:20040916#1095348027.

*4:昔の日記の反戦落書き事件への感想.http://tokushima.cool.ne.jp/yhoshimi/diary/200308.html#04_t0_1