印象操作？ - 「クニミツの政」
「クニミツの政」弟184話での登場人物の会話．
ク，武藤国光．サ，佐和真澄．医，慶応大学病院近藤誠医師（だとか）．
医「医者になるための国家試験だって みなさん難しいと思ってるかも知れませんけど ほとんど落ちないんですよ あれは」
ク「えっ？ そーなの？」
医「2004年度の医師国家試験の受験者は8430人 合格者は7457人 なんと合格率は88.4%です」
ク「うーん な，なんか バイクの免許よりも落っこちねえんだな」
サ「2004年度の司法試験の合格率は わずか3.42%よ」
合格者の受験者に占める割合，医師国家試験に対するものと，司法試験合格者に対するものとを対比させて「医者になるのは実は簡単，医者の質はそんなにたいしたものじゃない」というのはどうなんでしょうか？ 定員のない医師国家試験と定員のある司法試験では対比させることに意味なぞありません．そんな数値を２つ並べて医師国家試験は簡単であるかのように書くのは，単なる印象操作です．ちなみに司法試験の2004年度の受験者数43367人，合格者数1483人となっています*1．司法試験の場合，浪人のことを考えたら，合格率は低くなって当然です．また，医師国家試験と司法試験の内容が違いすぎますし，受験者の背景も全く違います．合格率以前に比較してもしょうがないものだと思いますが，ここではそれは考えません．
ここ最近の話で扱われているインフルエンザ脳症など薬害がらみのネタはよく知りませんから，真贋はわかりません．ただ，農薬問題の時の馬鹿げた話，クニミツと田中角栄とを並べて論じる滑稽さから，話半分，もしくはそれ以下と思って本作を読んでいます．また，前回の話になりますが，「数年前に出た医学論文には」と論文や報告書の類を論拠に話を作っているわけですが，なんというものを参考にしたのか，最後のページに書くか，コミック収録時に巻末に書くかしてくれないと，公正じゃないよなとか，そんな事も考えています．漫画とはいえ，ここまで書くんだからきちんとして欲しい．それでも，結構ありえる話だよなと思いつつ，今回の薬害話を読んでいました．「クニミツ」は，たまにいい事が書かれますので，今回はひさびさにきちんとした話かなと思ったわけです*2．しかし，最後の最後でやってくれました．しかも最後にさらっとさりげなく入れてくるところが実にうまいというか……．まあ，作中，登場人物が様々な印象操作を繰り広げていますから，作者様も実際に使ってみたくなったのかもしれません．
ただ……ここまで書いてふと思ったのですが，医師と弁護士は高収入の職業としてよく一緒に出てきますから，定員の有無やら何も考えずにぽんと合格率を並べてみただけなのかも……．
……えーと，判断は漫画を読んだ人におまかせします．そういうわけで日記のタイトルには最後に「？」を付けておきます．
(追記)
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id:utumi_kさんいわく，
この前も指摘しましたが、ここに限らず、クニミツ、「統計の嘘」を頻繁に用いていますから。
医者と弁護士ということで安易に比較したわけじゃなく，やはり印象操作と考えても良さそうですね……．
また，医療関係の情報もかなり無茶なもののようです．
id:utumi_kさんが今回の薬害かなり詳しく調べてらっしゃるので，TBをかねてリンクをば．ちょっとだけ今回の「クニミツ」の話を信じてしまいましたから，自戒の意味も込めて……．まだまだ精進が足りません……．
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id:utumi_k:20050113
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