捏造

私は女性崇拝で、寝てもさめても思いつめ、高じてその極に達したものである。
極に達すると、生きている女はなまぐさく、死んだ女じゃ仕方がなく、生きて崇拝できて、しかも一緒に寝ることができるという、この世ならぬ女性を捏造するにいたる。
物ごころついて以来、私はひたすら捏造して、こんにちにいたった。だから、実物に接したときは驚いた。

山本夏彦, 「日常茶飯事」, 新潮文庫, p233.

本田透電波男」の内容を思い浮かべつつ、上の言葉を読むと、面白いというか、つらくなってくるというか、複雑なものがあります。わたしゃ、現在進行形で捏造しておりますゆえ。