山田玲司「絶望に効くクスリ」(6)
僕は「絶望に効くクスリ」にどういう人が出てくるのかは楽しみにしてますが(たまに辻本清美さんみたいな産廃がごとき人が出てくるのも楽しみといえば楽しみです)、山田玲司先生の言葉はときに邪魔です。
まぁ強引に言ってしまうと、ユングって人は……
心は深いところで時空を超えてつながっているのだ。
その言葉はあなた一人が喋っているわけではないのだよ。――とこんなすごい事を言っちゃった学者さんなのだ。
どこのファンタジー小説ですか、それ。上のような話を、真面目に、そして真理のように書くのは勘弁してほしい。それにしても、フロイト(1856-1939)やユング(1875-1961)は、もうずいぶん昔の人で説としては相当に古いもののはずです。山田先生の中では今なおフロイトやユングの説は現役なのでしょうか?
もう一つ書いておくと永田農法の話の中で、
快適な部屋《つち》で大量の知識《ひりょう》だけを与えられて育った人間《トマト》より……
過酷な環境の中で、必死になって学んできた人間のほうが、魅力があるのと一緒だろう。
とありますが、こういう夢見るような話は、もうたくさんです。
過酷な環境は人のなかにどろどろとしたものを生みます。人と話をしていると、その人が経験した苦労へのうらみつらみがときおり顔をのぞかせます。又聞きで、嫌なめにあい続けてねじけた人が、他人をひっかけてもうけようとしたりなんてのを聞いたりもします。過酷な環境で必死になってやってきた人の中に魅力的な人はいるでしょうが、どれだけの人が苦労によって磨かれるんでしょうか? 宝石は磨かなければ輝きませんが、磨きすぎればなくなります。ほどほど*1に苦労した人は磨かれて人格が練れていると思いますが、苦労しすぎるとねじれます。
白昼夢のような言葉をのぞけば読む価値があって、だから身銭を切って買っていますが、中学生のポエムみたいな部分が減ってくれると嬉しいところです。……減らないでしょうが。
絶望に効くクスリ―ONE ON ONE (Vol.6) (YOUNG SUNDAY COMICS SPECIAL)
- 作者: 山田玲司
- 出版社/メーカー: 小学館
- 発売日: 2006/01/05
- メディア: コミック
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*1:このほどほども人それぞれで、むちゃくちゃな苦労でもひんまがることなく乗り切る人もいれば、ちょっとした苦労でねじけてしまう人もわけで……。(自分は後者でして……。ははは……。)