多様性?

同じ動物種であっても、それぞれの個体には違いがあります。身体の大きさといった肉体的なもの。ある事柄にたいする振る舞いの違いといった精神的なもの。同一種内にある多様性。ただ、この多様性という言葉、どういった個体間の違いを動物種の多様性と考えるかは人によって異なります。が、なにがしか「正」の方面にある事柄に対して使われるもののように僕は思います。
さて、動物は複雑な機械です。物事は複雑になればなるほど誤りが生じやすくなります。当然、誤りに対処するための機能も組み込まれていて(そういう機能がなければ、どんなことが起きるかは想像に難くないわけでして)、小さな誤りなら吸収されるでしょう。ですが、誤り訂正機能も万能ではなく、大きな誤りは吸収しきれない。発生の段階に生じた大きな誤りで「本来なるはずであったもの」からはずれることは往々にしてあるでしょう。生存や繁殖に大きな障碍を負うこともあるでしょう。そういった大きな障碍を持った個体に対して多様性という言葉を使うでしょうか? まず、使わないのではないかと思います。
けれども、それは人間以外の動物種においての話、人間に対しては多様性という言葉が出てきます。出てくることがあります。倫理なのか道徳なのか、それとも別の何かなのかは知りませんが、使う人がいます。
その手の感性に腐臭漂う偽善と欺瞞を感じるのですが、考えすぎでしょうかね?