客と制作者

[大尉 Weblog: ファシズムVSフェミニズムみたいなの?]

こういう一見不思議な演出が挿入されたときに,どうして理解できない(反応できない)自分を疑わずに,安易に制作者を批判してしまうのか,僕にはまったく理解できない。

これって、かなり制作者や技術者よりの考えに思います。自分、職業プログラマーですが、ソフトウェアの開発は色々大変です。これこれをやるのは難しいのですよと、まあ、色々ぐだぐだ言ってみたりするんですが……。客にとっては、そんなもの知ったこっちゃありません。期待するものを、望むものをソフトウェアが備えていなければ、文句言われます。まあ、文句言われるのは直接僕じゃなくて、間に立っている営業さんなんですが……。とまれ、客側は制作側の事情なんか知りません。自分の望むものが欲しい。それだけです。アニメなら基準となるキャラクターデザインに近い絵が、きちんと動いているものが観たいと客は思うんじゃないかと思います。自分もアニメの客の一人ですが、あまり基準からはずれまくったものはつらい。僕がよく見ていた勇者シリーズ作画監督によってかなり絵柄が変わりました。たいがいはオッケーだったんですが、佐々門信芳さん作画の回は嫌いでした。キャラがぺらぺらで、顔もかえるみたいになる。戦いのとき、吹き飛ばされたロボットが、重さの無い木の葉のように舞う。そんなのが多くあって、かなりつらかった。ただ、アニメをよく知る人から、あの人は昔はすごかったんだよ。それに今も手がすごい早いから、いろいろいっぱいいっぱいのアニメ制作現場にいないとならんのよとか、そんな話を聞きました。それを聞いて、そうかあ、なら応援しようかなと思うようになったわけですが……。客が制作側の事情をおもんぱかるのは、ある意味、馴れ合いです。不思議なものが挿入されたときに、つまりは自分が望むものからはずれたときに、馴れ合わず、文句を言うのは客としては何も不思議じゃありません。
ただ、「○○さんは自分の絵柄にしちゃうし、動かし方も下手だけれも制作現場の救世主〜」みたいな話は客にはどうでもいいものですが、上の記事の例だと独特の作画に面白い演出というもののようですから、そういうのはありだと思ってくださいと穏当な形で広めていくのはいいんじゃないかなと思います。自分たちの作っている商品はこういうものなんですとプレゼンして、客が色々と受け入れてくれるようにしていくのは大事だと思います。実際、「アニメっていう商品は、こういう形の商品なんですよ」って、誰かが一般の客にプレゼンしているのって、ほとんど(ぜんぜん?)見たことありません(僕が知らないだけかも知れませんが)。アニメという商品がどういうものかもプレゼンせずに、商品を正しく理解していないと客を批判しても、意味無いと思うのですが、どうなのでしょう。

追記:
ふと思ったのですが、エセ科学がはびこらないように、きちんとした科学者が科学とは何なのかを世に訴えていくべきって話がありますが、それと似てますね。