敗者の詫び

喧嘩で負けた者は「自分が悪かった」と詫びます。喧嘩はどちらにも言い分があり、片方だけが正しいなどあるものでしょうか? また、勝敗を決するのは知恵や力、運といったものであって正しさではありません。けれども敗者は詫びます。何故か? 勝者の許しを請い、とことんやられて損を被るのを少なくするためです。己の損得のために勝者に媚びるのです。敗戦後のうちら日本の「自分が悪かった」も、そのたぐいのものです。敗者の詫びは、敗者の振るまいとしては「正しい」ですし、僕はそれを是とします。たいがいにおいて、誇りよりも生きることの方が大事です。ですが、倫理や道徳に照らして「正しい」などと考えるのは病んでいます*1。実際には病んでいると言うよりも、勝者に媚びている自分が恥ずかしいから、倫理や道徳として「正しい」と思いたい、そういった健康な心の働きなのかもしれませんが。

*1:そういうものが全くないとまでは言いませんが。