こぐのをやめたらこけるだけでは?

最初に、僕は自然科学に偏っている人間であり、工学系の職に就いている人間だと断っておきます。

http://d.hatena.ne.jp/kleinbottle526/20060927/1159345077

一つ。僕らは科学技術が生み出した余剰の恩恵を受けて安楽に生きています。高度な先端技術の多くは、お金持ちしか利用できないものだとは思いますが、いずれ技術は進歩し普遍化して僕らのところに降りてきます(特殊であまり需要のないものなんかは、降りてこないこともあるでしょうけれども)。僕らお金持ちじゃない者も恩恵を受けるようになります。科学技術の進歩のおかげで、昔なら死ぬしかなかった人も助かったりしています。もちろん、技術の進歩のために苦しむようになる人も生まれるわけではありますが……。人にとって都合がいいだけのものは、科学に限らず、存在するとは思えないので、何かを得れば何かを失うのはしかたがないことなのかもしれません(「失う」方に含まれた人はたまらないと思いますが、じゃあ、「得る」方に入って助かった人はほっとけば良かったのかという話に……。)。
とまれ、先端技術は高価すぎて僕らには恩恵をもたらさないかもしれませんが、長期的に見れば、科学技術の進歩はお金持ちじゃない僕らのような人間にも多くの恩恵をもたらしてくれると思うんですけれども。

また、科学技術にお金が行かなかったとして、福祉にお金が行くとも限りませんし……。

二つ。僕は技術と人間の関係を次のように考えています。
新しい技術を生み出した。いろいろ嬉しいものが生じた。ついでに困ったことも生じた。新しい技術を生み出した。これまでの問題をある程度しのいだ。さらに、いろいろと嬉しいものが生じた。けれども、これまでと別の問題が生じた。新しい技術を生み出した。繰り返し……。繰り返し……。
そういうサイクルを延々と自転車操業的に繰り返してきたのじゃないかと考えているので(あまり技術史やら科学史に詳しくないので、非常にあらい話ではあります)、足を止めたら、そこでおしまい。はい、それまでよじゃないのかとも。ですから、

生き延びられたはずの人を見殺しにしてまで急速な、より優れた技術を開発するくらいなら、僕はゆっくり、みんなが死なずに済む文明の発展を希望する。

というのは、ゆっくりやってたら、みんな死んじゃうんじゃないの?とか思ってしまいます。まあ、今はあらゆるものが加速しすぎて、いずれおおごけするんじゃないかって心配ですから、もうちょっとゆっくりととは、僕ですら思ってしまうわけですが、かといって、ゆっくりしすぎたら、そこでいろんなものが終わってしまいそうな気もします。

最後。

っていうか、自然科学系、特に工学系は資本主義に毒され過ぎ。いや、あたしだってきょうさんsh(ry

資本主義にせよ、共産主義にせよ、お金がないと(なにがしかの資源、人やらモノやら、と言い換えてもいいですが)何も始まらないと思うんですが。もちろん、それは科学に限らない話です。