「花咲くオトメのための嬉遊曲」

主人公,事故で片足を失って好きな野球をあきらめざるを得なかったという設定なのですが,奇妙なインテリ君で色々な思想というか知識を自分にインストールしていて,わかったようなわからんような理屈をこねてくれます.なんというか,プレイヤーたる我々オタク――自分の趣味を弁解するために理論武装する――の代弁者としてはいいんですが,スポーツに打ち込んでいた少年とはとても思えない不健康さで,プレイして元野球少年であったことを忘れてしまうときがあります.まあ,片足を失ってから色々と本を読みあさって斜に構えたような考え方を身につけたのかも知れませんが…….ちなみに図書委員の眼鏡っ子との会話は頭が痛くなります.
また,やりたい盛りの男が女部屋に連れ込んだときに,自分たちを客観視して冷めた目で見るってのは,なんだかなあって思います.
ゲームとしては,誰の視点で物語が進んでいるのかすぐにつかめないことがあります.演出上ぼかすときもあるとは思いますが,本作の場合そういうものじゃなくて,単にわかりにくいだけです.
色々文句を言いましたが,野球のシーンやら登場人物の性格*1やらは好みです.文章読んでいて楽しい.
制作元のLOVER-SOULは次から商業展開するそうです.衒学的な台詞を吐きまくるキャラクターが面白いときもありますが,やりすぎないようにして欲しいなと思います.

*1:図書委員の眼鏡っ子も奇天烈な台詞を吐かなければ好ましいです.