厳しい環境、ぬるい環境

動物の協力行動は、厳しい環境では促進されますが、ぬるい環境では協力せずともやっていけるので、わざわざ協力しません。そして、ぬるい環境では厳しい環境では許されないフリーライダー(ただ乗り)が大目にみられます。
中国様、韓国様、北朝鮮様ってな感じの、心のnationが自国以外の場所にあるnationalistはわが国に多いわけです。その手のnationalistは別に日本だけの話ではありません。なんぼか余裕のある国ならいくらでもいます。自分が属する集団の足を引っ張り、行動の邪魔をする、それでいて属する集団の持つうまみは活用する。少し前の日本はめっちゃぬるい環境だったから、この手のフリーライダーが大手を振って活動できたわけです。しかも、自国以外を心のnationにもって、心のnationを応援すれば正義と善意の人とも思ってもらえます。きっと、気持ちも良かったでしょう。左向きの思想が流行ったのもむべなるかな。今は、しかし、環境が厳しくなってきたため、フリーライダーに対して多くの人が突っ込みを入れるように。フリーライダーはやりにくくなりました。きっと、日本の経済がむっちゃ上向きになって、環境がぬるくなれば、また、フリーライダーが大目に見てもらえるようになるでしょう。僕としては、フリーライダーを大目に見られるぐらい経済上向きになったら、嬉しいなあと思います。フリーライダーのやってることにたいしてむかつくとは思いますが。


ってなことをリー・ドガトキン「吸血コウモリは恩を忘れない」(草思社)を読みつつ考えました。「吸血コウモリは恩を忘れない」自体は、動物の協力行動の研究から、人間の協力行動を促進する知見は得られるだろうかってな本でして、少々研究結果を道徳的に見過ぎているところもありますが、良い本です。上のような嫌なことを書いている本ではありません。

吸血コウモリは恩を忘れない―動物の協力行動から人が学べること

吸血コウモリは恩を忘れない―動物の協力行動から人が学べること