犬、食べ物

わが県にも中国からきている人はたくさんいてまして、小さなトラブル(窃盗とかそういうのじゃなくて生活習慣の違いとかそういうのから出てくるトラブルです)はあります。僕は直接関わったことはありませんが、知人や妹の勤務先なんかで、いろいろとあって、ときに愚痴を聞くことがあります。

大勢中国の人がいるところでは犬や猫がおらんようになるという話です。野犬が減れば保健所の仕事も(ちょっとだけ)減るし、保健所で薬殺されるのに比べたらほかの生き物に喰われて死ぬ方がずっといいと、そう考えました。戦時中はうちらの先輩方もよけ犬喰ってたそうですし、中国の人たちも祖国への仕送りのためにお金も節約できます。悪いことはありません。ですが、野犬だけじゃなく、どうも飼い犬まで食べてしまうそうで……。知人のところでは喰われかけた飼い犬がほうほうのていで逃げてきて、んでその体には毛がなかったとか。間一髪のところを逃げてきたわけですね。人んちの犬は喰っちゃだめですよ。

こういった文化の違いは知識としては面白いんですが、実際に関わるとなると面白いとはいってられません。知人の近所のおばさんが、出稼ぎに来ている中国人からハンバーグをもらって、あとで何の肉かと問うたら犬の肉だったという話がありました。うちらは犬喰う習慣がありませんから、犬喰ったらショック大きい人も多いと思うんですね。確か、中国人は自分たちの食生活のなかにない鯖のような青みがかった魚をカラフルだと言って食べようとしないと(本土の人間が沖縄の色鮮やかな魚をみてびびるようなものでしょうか?)同じ中国人が書いていましたが(莫邦富「中国人から見た不思議な日本語」p14-16)、子供のころから慣れ親しんでいないもの、食べ慣れてないものを食べるのは結構きつい話です。あんた方が犬喰うのはいいけれども、犬喰う習慣が無い人間に喰わせるのはやめようやと、そう思います*1

まあでも……難しいでしょうね。上のようなことを書いている僕自身、関東に行ってうどんのだしが黒いのを見たら「本当にこれ食べられるの?」とか言っちゃいそうですから……。食べ慣れていないもの、知らないものへの無理解、そして自分たちが食べているものを食べない人への無理解ってのは、なんというか……。できるだけ人が喰ってるものにはけちをつけないように心がけて生きたいところですが、すぐに忘れていらんことを言っちゃいそうです。

*1:僕自身はどんな味がするのか犬喰ってみたいですが、犬を喰う習慣が無い日本ではそういうふうに思う人のが少ないでしょう。また食べてみたいですが、実際に箸を付けるまでに結構葛藤しそうです。