本能と性行動

文化系女子とかそういう話はあまり興味ないんですが、本能がらみの話は興味あるので、ちょろっと。
あと、倫理的に考えるとかなり嫌われそうなことを書いています。

[Ohno blog(2006-05-21)]

本能に関する考え方に色々と違和感が。

それは当然「若くて美しい女を妊娠させ自己の遺伝子を最良の形で残したい」という動物的本能からは、逸脱し倒錯する。「虚弱タイプな女に惹かれる」とか「幼女が好きだ」なんてのは、子作りという観点からするとアウトだ(後者は実行に移せば道義的にもアウト)。だが逸脱、倒錯していくのが文化であり、動物とは異なる人の性である。そして男の性欲は能動性を旨としている以上(だって男が勃起しないとセックスできない)、男を威圧するような女よりより「下方」の女に向かう傾向が強いのは、たぶん今も昔も変わらない。

『「若くて美しい女を妊娠させ自己の遺伝子を最良の形で残したい」という動物的本能』とありますが、「繁殖の手段としてセックスを求める」という考え方は正しいのだろうか?と思います。心の中(脳の中)にセックスをしたいっていう気持ちだけ組み込んでおけば、それぞれの個体はセックスをしようとさまざまな試みを行います。試みが成功した個体には子供ができる可能性あります。若くて美しい女は健康で生き残りやすい子供を生む可能性が高いでしょうから、男には、そういう女性を好むような嗜好*1を組み込んでおけば、さらにいいわけです。
子供を作ろうという気持ちがどこにもなくても、繁殖にはそれほど困りません。セックスしたいという気持ちを組み込むだけで十分です。
避妊やら中絶やらあるからそうでもないんじゃ?とか言われそうですが、避妊やら中絶やらの技術は人間の進化の歴史の中ではごくごく最近できたもので、本能にしてみればそんなものは知ったことではない。それに昔は育てられない子供をまびくなんていうのは珍しいものでもなかったようです。子供を間引くことは現代では倫理的に許されないわけですが、避妊やら中絶やらの技術は穏当に子供を間引く手段として古典的な方法の代替えとなっているものだと思います。
話を戻して、他の動物でもボノボという人間の近縁種は社会の緊張緩和に性を使ったり、売春のような行動をとったりする姿も見られるそうで、繁殖行動以外にも性を利用します。まあ、そこまで多彩な性の利用法をもっている動物は人間とボノボだけらしいですが、他の動物の繁殖行動を見ていても「繁殖のための手段のセックス」だけではない副次的な効果を計算にいれていると思われる性行動(繁殖行動)をとる動物種もあります。動物の心の中なんてわかりませんから、セックスが繁殖の手段なのか、セックスが目的なのかがはっきりとわかることはないでしょうが、人間に限って言えば子供を作ろうというのは頭で考えることで、心の中からわき出るのは、ただ、セックスがしたいって気持ちだけだと思います。女性の事情は知りませんが、男はそうでしょう。動物の本能の形は動物種それぞれに独特で、人間の場合は、本能の形はそういうものなのではないかと思います。
そして、単にセックスをしたいという欲があって、子供ができるのは、そのおまけ、ただの結果であるという考え方であれば、「虚弱タイプな女に惹かれる」とか「幼女が好きだ」なんてのも、なにもおかしかないわけです。性という資源をたやすく得られそうな、コントロールしやすそうな*2相手を選ぶのは行動としてある意味では「正しい」です。ただ、後者、子供を対象にした場合、露見したら社会的に抹殺されるなど、大きな不利益を被りますから、自身の生存にとってもマイナス面が多いです。多くのことを考慮に入れれば「正しくありません」。ですが、遠い未来の罰を考慮に入れて行動するより、目先の快楽充足だけを考えて行動するのは、幼児性愛者とかそういうのじゃなくても、誰しも持っている心です。夏休みの宿題をやらなければ先生に怒られるとしても、遊んでいるあいだはそんなこと忘れているとでもいいますか。目先のことだけしか見えないのは、うちらの持っているたちの悪い性質とでもいいますか……。だから、本当に子供に手を出す馬鹿がひっきりなしに出てくる。妄想で処理しているなら、誰も困らないからお好きにどうぞって話なのですが。
別種の動物でも、アザラシなんかはハーレムを作れなかった雄が子アザラシをレイプすることもあるそうです(そのとき体重差で子アザラシは死ぬこともあるとか)。この話の細かい部分、子アザラシとはいえ妊娠可能な個体を狙うのかとか、雌であればなんでもいいのかとか、レイプにおよんだ(およぼうとする)雄の個体にはどれだけ危険があるのか(ハーレムのボスや、子アザラシの親に攻撃されるなど)までは知らないので、例として妥当ではないかもしれませんが。

一方、男のファンタジーの最前線と言えば「萌え」。それはもともと、二次元対象に限定された欲望の「フィクショナルな快感」であった。欲望が"現実に"叶えられてしまうことは回避したいがゆえの「フィクショナルな快感」。三次元の厄介さや複雑さには触れずに萌えていたい。そして様々な女の子のイメージを消費したい。それはもう「遺伝子の保存」とか何とかいうことからはかけ離れた、完全自家発電の世界である。

あと「欲望が"現実に"叶えられてしまうことは回避したい」なんてありますが、欲望が現実に叶うことを回避したいと思っている男ってどれだけいるんでしょう? 実際のお姉ちゃんとうりゃこりゃするという非常に大変な行為に自分の資源(精神的なもの。肉体的なもの。)をさくのが嫌で、もしくはどうさけばいいかわからなくて、妄想で処理しているだけではないのかと。少なくとも自分はそうです。多くのオタクも同じようなものだと思います。オタクといわずとも、アダルトビデオなど観てマスかくのも、アニメ絵でマスかくのと、うわっつらの行為はちがいますが、望んでいることはかわりません。かっこつけて本音を言わないやつは多いでしょうが。それに「萌え」だのなんだの言っているオタクちゃんも本当に彼女できたら二次元から離れるの多いようで、というか俺の周りにも……。
ただ、誰かお姉ちゃんとセックスをしたとして、その後結婚だなんだ考える必要も出てくるかもしれず、それは気が重いですから、そういう状況を考えたくなくて「欲望が"現実に"叶えられてしまうことは回避したい」というならわかります。逆に言えば、何の責任も負わずに助平できる状況なら「欲望が"現実に"叶えられてしまうことは回避したい」と思わないんじゃないかと。漫画やアニメに出てくるような都合のいいお姉ちゃんに好かれたら、よほど二次元に特化したオタクじゃなければ、二次元を捨てるんじゃないかと思いますけれどもね(全部捨てずとも多くを捨てるのではないかと)。僕は捨てますが、そんな相手がいるわけないから、捨てるようなことにはならないでしょうけれども。とほほ……。

追記:
先の方で言いたいのは「幼女を性愛の対象とする」心理が生じてもおかしかないといっているだけで、それが許されると言っているわけじゃありません。
別のものだと、自分の利益を大きく損なう相手を殺してやりたいと願うのは別段おかしな話じゃありませんが、許される行為ではない。それと同じことです。

*1:この辺の嗜好にも色々あるでしょうが。

*2:本当に資源を得やすいか、コントロールしやすいかどうかは、また別の話です。そういう風に思えることがここでは重要です。