山口翼と日本語大シソーラス

山口翼(やまぐち・たすく)さんは大修館「日本語大シソーラス」編集の音頭を取った方です。シソーラスというのは「分類語彙辞典」やら「類語辞典」などと訳されるもので、ある語に対して意味が似たもの、反対のものといったように、意味をもとにして語を整理分類し、まとめたものを言います([シソーラスとは]あたりに、もうちょいきちんとした説明があります)。シソーラスの編集というのは多くの言葉を集め、意味によって整理するという、膨大な作業量を要するもので、「日本語大シソーラス」をぱらぱらめくりながら、どれだけの作業を積み重ねたのかを考えると、こっちまで頭が痛くなってくるごっついしろものです。
山口翼さんは、1970年頃に小説を書いてみて、自分の語彙のなさにうちひしがれ、表現力を高めるためにシソーラスを作ろうと思い立ったのだそうです*1。そして、それから30年ちかい歳月を経て*2、2003年に大修館から「日本語大シソーラス」が出版されました。
自分の本を電子製本で美しく出版するために10年かけて組版システムを作り上げた、TeXを利用する多くの人たちが足を向けて眠れないであろう偉大なるKnuth先生のことが頭に浮かびました。
偉大な業績を残す人は、石の上にも三年みたいな強靱な精神力があるのですね……。

参考リンク。

TeXの開発期間について、あまり詳しいことを調べていないので、今のところ http://omega.enstb.org/papers/bit.pdf に書いてある10年としています。)

日本語大シソーラス―類語検索大辞典―

日本語大シソーラス―類語検索大辞典―

日本語大シソーラス ~類語検索大辞典~

日本語大シソーラス ~類語検索大辞典~

*1:山本夏彦さんは「無想庵物語」で博覧強記は必ずしも創作を助けないことを知ったと書いてらっしゃいましたが、語彙だけでは……と思いつつも、シソーラスを作り上げた山口翼さんの業績は素晴らしいです。

*2:30年間ずっと編集作業をやってらしたわけじゃないようですが。