「美味しんぼ」90巻

最近は流し読みなのですが,こりゃすごいって話がありました.まあ,話そのものじゃなくて,浮浪者に対して雁屋哲さんが抱く想いがすごいなと.「社会と関わり合いにならずにふわふわ浮いていきたいの」と,のどかにはらっぱに寝そべる浮浪者を描いているのですが…….ああいう生活は,冬の寒い中はつらいでしょうし,生きていくのは大変だと思います.漫画のなかで描かれたような暢気さというのは,よほど根性座って達観した人じゃなければ持てないのではないかと思います.雁屋哲さんはかなりアナーキーかつ共産かぶれなお人ですから,浮浪者の生き方をむやみと持ち上げ素晴らしいと思ってしまう心性があるのでしょう.たぶん.でも自分ではそういう生活しようとは思わないでしょうし,「1984年」のジョージ・オーウェルが貧民街で暮らしたように,しばらく浮浪者として暮らしたら,こういう妄想は捨ててしまうんじゃないでしょうか?
(修正)浮浪社→浮浪者.