昭和天皇とA級戦犯
少し話題に乗り遅れている感はありますが、昭和天皇がA級戦犯合祀に不快感を持っていたというメモが出てきたとか。それをもって「昭和天皇がこういっているんだから、靖国参拝はおかしいんだよ」てな感じのことを言って、つねには昭和天皇に敬意を払っていない人たちが騒いでいるんだけれども……。なんとも滑稽だ。自分が信じぬ権威を利用するのはどうなのか? 世間には、さまざまな権威がある。いろいろな形をとる。一つにモラルがある。モラルをないがしろにしている人がモラルを説く。例えば、現役の盗人が「盗みをしちゃあいけない」といって、一体、誰が耳を貸すのか。確かに、どんなゲスの口から出ても、正しい言葉は正しい言葉ではある。理屈としては、だが。
加えて、自分が敬意を払う人物の考えを完全に己の中に体現しなければならないとでも言うのだろうか? 世の中には自分が尊敬する人物と同じ考え方が出来るようになるのを喜ぶ人もいる*1みたいだけれども……、僕は御免だ*2。
敗戦前、われらの先輩方で、天皇陛下万歳を唱えて他人に無理を強いていた人たちの中には、天皇への敬意などなく、他人に自分の考えを押しつけられる権威として天皇を利用するために天皇陛下万歳と言っていたとおぼしき人たちがいる(本当の敬意なんぞ持っていなかったから、敗戦とともに、あっという間に転身できた)。今回騒いでいる人たちは、その子孫なのだろう。