J.H.ブルック(著), 田中靖夫(訳), 「科学と宗教」 (途中)

科学と宗教(ここでいう宗教はキリスト教)の歴史的関係に言及する際に、よく出てくるものは次の3つだそうです。

  1. 闘争モデル。科学と宗教は、相容れないものである。
  2. 分離モデル。科学と宗教は、それぞれ適用できる領分が異なる。その領分を超えるからもめるのだ。
  3. 調和モデル。科学と宗教は、実は仲むつまじく発展してきたものなのだ。

それぞれに難点があると著者は言います。
科学と宗教の対立のように見えるものが、実は科学の仮説どうしのぶつかり合いであったり、宗教的価値観のぶつかりあいであったりする。
宗教が自分を肯定するために科学を利用することがある。その逆もある。
科学と宗教が袂を分かったように見えて、実は深いところでは縁は切れていない。
科学と宗教の関わりは単純に闘争、分離、調和といったモデルで語れるものではないと、多くの例を挙げながら考察しています。
最初の1/4ぐらいしか読んでいませんが、科学と宗教とが複雑にからみあっていたさまを丹念に描いていて、かなり面白い。
また、魔術(錬金術)というものと科学、宗教の関わりはどういうものだったかにも触れられている部分も興味深いです。

科学と宗教 合理的自然観のパラドクス

科学と宗教 合理的自然観のパラドクス